永富 咲永富 咲 / 2023年8月25日

結局「デザイン思考」って何?

UX / UI のデザインに強いWebシステムの開発と、BtoB Webマーケを支援するWeb制作を提供するN’s Creates (エヌズクリエイツ) 株式会社の永富です。

近年デザイン業界以外の場でも「デザイン思考」という言葉を耳にすることが多いですね。

でも、デザイン思考って結局のところどういうものなのか、自分の言葉で説明できる人は意外と少ないのではないかと思います。

今回はそのデザイン思考について、具体例も併せてまとめてみました。

デザイン思考 = イノベーションを起こすツール

デビッド・ケリー(デザインコンサルタント会社IDEO 創業者の一人)によれば、デザイン思考とは「イノベーションを促進するための有力な手法」のことで、発見、問題提起、プロトタイプ、検証という一連のステップを通じて行われます。

イノベーションというとハードルが高く感じられるかもしれませんが、この場合における「イノベーション」には、既存の知識や技術を駆使して物事を新しい視点から刷新することも含まれます。

「デザイン」という言葉が入っているので、いわゆるグラフィックデザインの技術のひとつのようなイメージを持ちやすいですが、どちらかというと「デザイナーがしている思考のステップを他の課題解決方法にも当てはめる」のがデザイン思考、と言ったほうがよいかもしれませんね。

デザイン思考の4つのステップ

1. 発見

デザイン思考の最初のステップは、課題をあらゆる角度から見つめ直し、本質的な課題や潜在的なニーズを探求することです。

フォードの創業者は、自社の事業についてこんなことを語ったそうです。

どんなものが欲しいかをユーザーに直接聞いたら「速く走る馬が欲しい」と答えただろう。

「車」という概念がユーザーに無ければ、「車」が欲しいと思うことはできません。その状態から「車」を生み出すためには、ユーザーの本質的な目的は何かを理解する必要があります。

この場合ユーザーが本当に求めているのは「少しでも早く目的地に辿り着くこと」であり、そのための手段が馬である必要はないと理解できたことが成功に繋がった、という逸話です。

2. 問題提起

明確になった課題に対して、本質的な問題を見極め、解決策を考案するためのアイデアを豊富に出し合い、実現可能なプランに結びつけていくステップです。

先ほどのフォードの例でいえば、馬以外に何か新しい移動手段を生み出せないかとアイデアを出し合って、人が運転する自動車という解決策に近づけていくことになります。

3. プロトタイプ

実際の製品やサービスを開発する前に、プロトタイプを作成します。これは、アイデアやコンセプトを具体的な形にする段階で、実際に体験できるものです。プロトタイプを通じて、アイデアの評価や改善を行い、最終的なソリューションへと進化させていきます。

UIデザインの現場では、開発を進める前のデザイン段階で実際に操作しているような感覚で画面を見られるよう、Figmaの機能を使ってプロトタイプを作成したりする場合が多いです。

4. 検証

プロトタイプをユーザーに試してもらい、得られたフィードバックを基に解決策を洗練させていくステップです。このプロセスを繰り返すことで、より効果的な結果を生み出すための改善を続けます。

代表的な成功例:任天堂 Wii

https://www.nintendo.co.jp/wii/

Wiiは、リモコンのようなコントローラーを使い、ボタン操作だけでなく体全体を使ってプレイできるテレビゲームのハードです。

これまでの据え置きゲーム機とは違う新しい遊び方ができるWiiは、革新的なハードとして大ヒットを記録しました。

この全く新しいゲーム機が生み出される過程にもデザイン思考が使われていたので、代表的な成功例として紹介します。

当時の状況

当時の任天堂は、ゲームキューブに次ぐ次世代ハードの開発を迫られていました。

Wiiの企画段階であった時期、競合他社であるSONYがPSP(プレイステーションポータブル)を発表。

これまでの携帯ゲーム機にない高スペックのハードを目の当たりにし、担当者はかなり衝撃を受けたといいます。

本当の課題を探す(発見)

開発チームのメンバーは、当時自分達がゲームに関して感じていたさまざまなことを話し合う場を設けます。

その中で、今より「ゲームは害悪」という風潮が強かった当時、「ゲームが好きなのに、なかなか家族みんなで遊べない」といった課題に気が付きました。

その課題から、世界中の人たちが遊べるものを作れば、ゲームが好きな人とゲームを嫌う人の不毛な争いもなくなるのでは?と考えます。

Wiiのコンセプト(問題提起)

本当の課題を発見したチームは、2つのコンセプトを掲げます。

一つ目は「家族みんなでリビングで遊べる」というコンセプト。

このコンセプトの表現は、リモコンのようなコントローラーを使って、全身を動かして遊べるというWiiの遊び方に現れています。

そしてもう一つのコンセプトが、デザイン思考を利用した解決策として面白いものでした。

「お母さんに嫌われない」

二つ目のコンセプトはずばり「お母さんに嫌われない」。

当時子供だった人は理解できると思いますが、子供がゲームで遊んでいて一番良い顔をしないのはお母さんでした。(今もそうかも?)

お母さんがゲームを嫌いがちなのは、「ゲームは成長に良くない」といった言説だけでなく、テレビやコントローラーを繋ぐ大量のケーブルで部屋が散らかって見えたり、毎回子供たちに「片づけなさい!」と叱らなければならなかったりするところからも来ているのでは?と任天堂は考えました。

そこで、Wiiのデザインは「DVDケース2つ分にしよう」という目標で進められたといいます。

本体を小さくして、テレビの横に置いてあっても気にならず、出しっぱなしでも散らかって見えない。さらに、冷蔵庫や洗濯機など「白物家電」の印象に寄せたカラーリングで、これまでのゲーム機とは全く異なる新しいデザインを作り上げました。

実際にはDVDケース3つ分くらいになったそうですが、リビングに馴染む新しいデザインはWiiの売上に大きく影響したのではないでしょうか。

まとめ

デザイン思考とは、

本当の課題、本当にやりたいことは何かを理解し(発見)

そのための具体的な解決策を様々な方向から考え(問題提起)

試行錯誤を重ねながら形にしていく(プロトタイプ・検証)

という思考法のことです。

デザインの現場に限らずどこでも使えるものではありますが、デザイナーとして理解しておきたい言葉ですね。

 


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参考文献

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