UX / UI のデザインに強いWebシステムの開発と、BtoB Webマーケを支援するWeb制作を提供するN’s Creates (エヌズクリエイツ) 株式会社のエンジニアの本田です。

最近身内のオススメで、加藤崇さんという実業家が執筆した『無敵の仕事術』という自伝を読んだので、そちらを紹介したいと思います。内容が多岐に渡るので、今回はこの本の中でもSHAFT売却にまつわるエピソードを紹介します。

加藤崇さんのプロフィール

まず、加藤崇さんのプロフィールを紹介します。(功績の列挙に暇がないので、今回の記事に関連する部分を抜粋)

1978年生まれ

2001年 早稲田大学理工学部卒業

2011年 人型ロボットを提供するSHAFT創業

2013年 GoogleにSHAFTを売却(Googleに企業売却は日本人初)

2013年 SHAFTがアメリカ国防省主催の、DARPAロボティクスチャレンジ予選優勝

加藤さんと中西さん、浦田さんの出会い

春とはいえ決して気温が高いはといえない会議室の中で、中西雄飛さんは汗をダラダラと垂らしながら礼儀正しく座っている。伸ばしっぱなしの長髪を後ろで結わえ、同じく伸ばしっぱなしなヒゲをたくわえている。運動をしているようには見えない大きな身体に、ド派手なサッカーユニフォームを着て、ひと目でわかるような個性を爆発させている。

加藤さんの高校の同級生経由で、東京大学ヒト型ロボット研究室の助教の中西さん、浦田さんを紹介されたのが3人の出会いでした。企業再生の道から一区切りつけた頃だった加藤さんは個人事務所を構えて、技術ベンチャー支援の道に目をつけていた頃でした。

その頃、ヒト型ロボット開発の分野の研究は東京大学、早稲田大学を中心として日本がリードしていたものの、研究を取り巻く経済環境は悪化の一途をたどっていました。そんな状況下、中西さんと浦田さんは大学としてではなくベンチャー企業を創業して、状況を打開しようとしていました。そして紹介経由で加藤さんにコンタクトをとり、中西さんの圧倒的にすごいロボットのデモ動画、真剣そのもののプレゼンに加藤さんが魅了され、3人の関係が始まったそうです。

SHAFT始動

(中西さん)「ヒト型ロボットの技術者を十人ほどフルタイムで雇う資金さえ投入すれば、今なら僕たちが世界一になれるはずです。逆に今を逃すと、残念ながら一生この産業で日本が先頭に立つことはできません。僕たちのベンチャーに真剣に投資をしてくれる人を探したいと思っています」

中西さんの切れ味のいい発言には情熱が溢れ、そこには抜群の説得力があった。僕はもう既に、彼らを助ける覚悟を固めていた。

(加藤さん)「わかった。中西さんたちが、本当にベンチャーをやる覚悟があるなら、僕が投資家を一緒に回って、お金を集めてきますよ。一日でも早く会社を設立して、開発を行う準備を進めましょう」

こうして加藤さんはCFOとして、中西さん浦田さんとDARPAロボティクスチャレンジというロボットの世界大会に向けて、日本のロボット産業を世界一のものにするために、SHAFTを創業することになりました。しかし、資金調達は加藤さんたちの熱意と実力、想像に反して当初から困難を極めたそうです。

ベンチャーキャピタル、経済産業省、官製ファンド・・・

担当者から促されて席につくと、僕たちは早速、これからDARPA競技会に参加することを伝え、その後、ヒト型ロボットに関するビジネスを展開していくにあたり、何か行政サイドから大枠の支援を得られないかとお願いをした。僕たちは、20枚程度の資料を準備して会議に臨んでいた。

ベンチャーキャピタルを数社まわり、大きな成果・支援を得られないまま加藤さんたちは、友人の紹介で経済産業省の門を叩いていました。結果、「何かやってあげたいのは山々だが、ヒト型ロボット事業を支援する枠組み自体が経済産業省にない」ということで、議論が一向に進まず、挙げ句介護用ロボットという、加藤さんたちの意図と異なる枠への申請を提案されるなど、失敗に終わりました。

官製ファンドの産業革新機構にも行った。上層部の人間に会えるということで、僕たちは期待に胸を膨らませていた。

10年ぐらいを見越した長い投資タームの中で、日本に新産業の芽を育てるとすれば、ターゲットとしてぴったりではないか。彼らはきっと助けてくれるに違いない。

民間のみならず、官製ファンドにも働きかけた加藤さんたちでした。しかし、リターンが見込めない(という官製ファンドの見解)会社に対する出資は難しいとして、またしても断られる結果になりました。

上記に挙げた失敗例はほんの一部で、中にはプレゼン中に怒鳴られて担当者が帰ってしまったり、理解を示し、決断してくれる組織がなかったそうです。本郷に近いボロボロの開発スペースで、月給たった10万円で毎日コンビニ弁当を食べ、平日は全く家に帰らず、土日だけ洗濯をしに、実家に戻り、また開発スペースに帰る、という状況下で開発・資金調達に従事していたとのことでした。

Google来たる

ハイテクベンチャーとして、真面目に生きてきた僕たちにとって、このまま日本にいたらダメだ、と踏ん切りがついた。その後の動きは早かった。僕たちは一気にカジをきり、日本ではなくアメリカで資金を集めようと、すぐさま友人、知人にあたって行った。

2013年7月、よく晴れた夏の日の午後。気温は30度を超えていた。僕たちは、東京お台場に構えた新しいオフィスで、ある人物にヒト型ロボットのデモを見せていた。その人物こそ、Googleに自身が創業した「アンドロイド(Android)」社を売却し、そのままGoogleの技術担当副社長としてアンドロイドを世界一の携帯電話用オペレーティングシステムに育て上げたアンディ・ルービンだった。アメリカから資金を集めようと活動を始めてしばらく、僕たちは僕の友人の紹介で、アメリカのGoogle本社とコンタクトすることに成功した。

初めは本当にアンディ・ルービン本人か半信半疑で、コンタクトを始めた加藤さんたちでしたが、実際にアンディ・ルービンと直接話をすることができ、3時間に及ぶデモ動画の紹介、いくつかの細かい質問を受けた後、支援の枠に留まらず、「ヒト型ロボット分野の天才技術者を世界中から集めてドリームチームを作るから君たちもそのチームに参加してほしい」「SHAFTの会社自体をGoogleに買い取らせてくれないか」、という想像のはるか右上をいく提案を逆にアンディ・ルービンから受けることができたのでした。

さすがの出来事に心臓がバクバクするほど驚き、顔を見合わせた加藤さんたちでしたが、30分ほどGoogleチームに席を外してもらい、話し合った加藤さんたちは、戻ってきた彼らに会社を売る準備を伝えたとのことでした。そして、その後M&Aに奔走し2013年11月にGoogleとのM&A締結、1ヶ月後のDARPAロボティクスチャレンジという世界大会での優勝、へとつながるのでした。

まとめ

この記事で紹介したのは、『無敵の仕事術』に書かれている加藤さんの功績のほんの一部で、他にも様々な人が成し得ない功績を積み上げている方です。成功者の結果だけを見ると、凄すぎて自分には到底できない、自分とは違う、自分なんて、と思ってしまいがちですが、自伝書を読むなどして、その過程を情報収集してみると必ず自分の仕事にも活きるヒントが隠されています。

日本を変えたい、世界を変えたい、というモチベーションを持つ加藤さんと自分を比較するのは恐れ多いことですが、自分も加藤さんのように一つのことに自分の全精力をかけるような仕事をして成果を出したい、とこの本を読んで強く思いました。どのエピソード1つとっても、心の底から感銘を受けました。

仕事で活躍するためのヒントが沢山隠された一冊です。ぜひ、皆さんも読んでみてください。


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